ゆるやかに老いる

少し前のこと。
ある年上の男性に言われた言葉。
「ゆるやか〜に老いていって。」(関西弁)
拙書「見た目はすぐに変えられる」に書いたように、取り敢えず手っ取り早く'取り繕う派'のワタクシは、まったく美容に熱心ではないのです。
しかし、一昨年56歳の誕生日から始めたInstagramを見ると同世代の女性の美意識の高さに驚かされる。
BELLADESSOというアウターブランドをプロデュースしていることで、テレビという公の場に出ることもあるワタクシ。
これではイカン!のではないか??
ましてや、写真なんてものはスマホに疎いワタシですら、ライティングを調整するくらいの加工は簡単に出来る。
実体とのギャップがコワイ、、、。
年齢に抗うつもりはもとよりないけれど、それでもせめてそのギャップを埋めるべくもう少し真剣に、
例えばエステに行くとか?
先を見越して今やれる手を打つべきなのか??
と、話していたときに言われたのが先の一言なのです。
話はガラリと変わり、この緊急事態におけるお篭り生活。
気になる本をまとめてAmazonで購入したものの、あっという間に読んでしまい。
何か読める本はないかと娘に聞いたところ、
「ハリーポッターあるよ」
幼かった娘が大好きで本もDVDも買ってあげたのは、このハハ。
DVDは観たけれど本は読んではおらず、あまり興味はそそられず、、、。
しかしながら、
「世界中で読まれてる本なんだよ!」
という娘の一言がミョーに説得力があり、しぶしぶ読むことに。
読み始めるとヒマに明かして約1週間で全巻制覇。
今度は原作と照らし合わせたくなって、改めてDVDを観て'一人ハリーポッター祭り'は終了。
その直後のことでした。
たまたま録画していた映画「天使にラブソングを」観たのです。
もちろんタイトルは知ってはいたものの、観たことはなく。
すると、なんとそこには映画の「ハリーポッター」でマクゴナル先生役をしていたマギースミスが出ているのではないですか。
1992年に撮られたこの映画。
ここでも修道女のリーダー的な威厳のある役柄。
すでに58歳のマギーにはマクゴナル先生を彷彿とさせるシワが口元や目元にも。
その後のハリーポッターの第1作が2001年。
最終話は2011年。
徐々にそのシワは増え、近年、日本でも人気の'ダウントン アビー'の最終話では、なんと85歳。
しかし、どの彼女も凛とした姿とカッコよさは変わらない。
改めて調べて観ると、アカデミー賞も受賞している60年代。
当時の彼女はそれはそれは美しい美人女優さん。
今では女優としてのキャリアは半世紀を超える。
しかしながら、海外でも日本でも、アノテコノテで不自然に若さを保とうとする女優が多くいる中で、彼女の顔からはそのような人工感がまったくない。
年齢を重ねること。
顔にシワを刻むこと。
ひいては老いるということを、あるがままに受け入れているように見えるのは、年相応の役柄をこなしていく女優としての覚悟と自信なのか。
そして、それを証明したかのような華々しいキャリア。
間違いなく80歳を超えた今も彼女は美しく輝いている。
そんな彼女を見たときに、思い出したのが先の
「ゆるやかに老いる」という言葉。
もっともその'ゆるやか'のためには、もうちょっと何かする必要があるのかは分からない。
女性にとっては、そのあたりの塩梅が悩ましいことではあるけれど。
それでも、
「諦め」でもなく、「抗う」でもなく。
「気持ちよくゆるやかに老いていく」くらいを目標にすると、ちょっと気持ちが楽になる。
「うん、やっぱりそれがいいなぁ」と、マクゴナル先生のシワを見て思った夜なのでした。
